各国の生産最少ロットについて
海外生産するにおいて、一番気になるのが価格と生産最少ロット数(ミニマムオーダー数)ではないでしょうか?弊社宛に頂きますお問合せにも、先ず『価格』について真っ先にお問合せされてくるお客様が多いです。
但し、価格はあくまでもオーダー毎の生産数によって変化してきます。これは世界中どこでも同じことでして、少ない生産数程価格は割高になり、また大きい生産数程価格は割安になってきます。
またその一方で、『生産最少ロット数』という規定が各縫製工場等の工場毎に設けられているのがほとんどでして、例えばドレスを作る場合。
先ず簡単に考えて、基本選択肢は3通りとなります。
①生地(生機)から製作する
②在りものの無地生地から製作する
③在りもの生地でも既にプリントが施されている生地から製作する。
という具合になります。
これによって、例えば①の場合は、生機の『生産最少ロット数』というのがございまして、生地自体をどの程度作るのか?という点で確約が必要となり、そこから割り出して、1スタイル辺りどの程度生産するか?を割り振ります。②の場合は、そこからプリント加工を施すことになりますが、その場合は、プリント数の『生産最少ロット数』が発生します。そして③の場合は、縫製工場にて、例えば1スタイル辺りの『生産最少ロット数』が存在する事になるのです。
このような具合で複合的な要素が多数存在するため、『ドレスを作りたい。いくらで作れますか?』というお問合せに対しても、諸々と詳細を詰めていかなければ価格は出せないのです。
そこで重要になってくるのが、生産数となります。
再度ドレス生産を例として考えていきますと、
①の場合、原反で2000m以上の生産が必要とされます。更にプリント加工を施す上で、最低500m/種以上の生産が必要とすると、最低生産数はその時点で4種類の生地柄からとなります(各500m x 4種類 = 2000m)。更に縫製工場での場合は、1スタイル辺り何枚以上という制約がある工場もございます。例えばドレス1枚用尺2mで50枚が最少生産数とすると、2m x 50pcs = 100m/スタイルが要件となります。ここから更に深堀して考えていき、では用尺2mのドレスAを50枚、用尺1.8mのドレスBを50枚という具合で生産数を取り決めていくのが通常です。
ここからは、あくまでも弊社が長年海外の工場にて生産してきた経験上でのお話となります。
弊社の場合は、いわゆる中小零細企業となります。そんな弊社を相手としてくれるのは、同じく小規模な縫製工場などが多く、弊社の製品に関していえば、本当に小さな工場が多いです。この為基本『生産最少ロット数』は大手と比較するととても小さいです。
しかしながら、その小ささ、というのは各国での工場群と比較してでの事でして、又例えばインドネシアとバングラデシュでは、単価やロット数が完全に異なるわけです。
ではどこの国で、どのようにして生産するのが良いのか?と申しますと、逆に先ずはどのような製品に仕上げるのか?どの程度生産するのか?という点において着目し、その上でその生産方法にあった国で動くのが最適なのかと思われます。
インドネシアでの生産最少ロット
弊社は、15年以上に渡り、インドネシア(主にバリ島)にてアパレル生産を続けております。弊社と提携しているのは主に縫製工場となりまして、家内工業的な工場ですが、それゆえにフットワークが軽く、簡単なプリント加工ならば自社内で行っていたり、またこの縫製工場が生産管理まで行ってくれる場合が多いです。これはこの縫製工場が生地の手配からプリント加工そして縫製まで一貫して行ってくれることを意味します。
バリ島に関しては生機から生地を生産するという工場はほぼ皆無でして、生機から生産の場合は、ジャワ島などでの生産になります。基本的に既成のレーヨンやコットン生地などは生地問屋にて手配が可能となります。
またバリ島ではろうけつ染めを始めとして、色々な染め加工を施すことができるのがメリットでもあります。それに付け加え、昨今ではインクジェットプリンターでのフルカラープリントを施すことができる工場も存在します。
気になるロット面ですが、基本的にその時その時の製品の仕様により異なる面も多いのですが、かなりの小ロットから作ることが可能です。生機からの生産にはあまり適しておりませんので、その分ロットが小さいわけです。例えばドレス10枚というような具合でも受けてもらえる場合があります。但しあくまでもその際の全体的なオーダー数も含めての事になります。
またロットが小さい分、単価的には中国などと比較しても高いです。インドネシアの経済成長は著しく上昇傾向にもありまして、インフレ傾向にもありますので、年々、時として月々工賃なども値上げされてきているのが実情です。
中国での生産最少ロット
世界の生産工場として機能している中国ですが、インドネシアと比較するとやはり生産最少ロットは大きくなります。イメージとしては、ドレス1スタイル100枚程度から、という工場が多いです。
生地に関しては生機からでも、既製品からでも生産数に応じて対応してもらえます上、既製品の生地に関してはインドネシアとは比較にならない程色々な種類が存在し、ほぼほぼ探せない生地はないのではないでしょうか?逆に中国で存在しないのに、その隣国では存在する、という事例はほとんど聞きません。
そして長年の蓄積された生産経験は、やはり郡を抜いて品質にも表れてきているのではないでしょうか?
但し、昨今の政治的な理由から生産を中国以外で行いたい、というクライアント様もまた多いのが現状です。
弊社の個人的な見解としては、工場の人々と対話していく中で感じるのは、とてもビジネスマインドが強い一方、人情もある方が多く、信頼関係が築き易いです。但しやはり政治的な危機面が大きく、何かあった際は真っ先に輸出がストップしてしまったり、という危険性が否めません。
ベトナムでの生産最少ロット
ベトナムに関しては、弊社は何度か生産を行った事がある程度ですが、基本大ロット生産となります。生地の手配なども自分で行う必要がある場合が多く、なかなか小ロットで生産できない場合が多いです。
但しアパレル以外の雑貨類など手工芸品に関してはロットは少なく、また色々な製品を生産する事ができるのが弊社にとってはメリットです。